
「県内中小企業のデジタル技術の活用を促進するため、高度なデジタル技術を活用した革新的な製品、サービスを開発・実証するプロジェクトを助成する 」という目的の元、自動分注システム開発、実証を行いました。
自動分注システム開発プロジェクト実証報告としてご紹介します。
目次
- 先進的デジタル技術活用実証プロジェクト概要
- プロジェクトの背景
- プロジェクトのスコープ
- システム構成とインテグレーション
- 実証実験結果
- 考察と今後の課題
- その他の成果
1.先進的デジタル技術活用実証プロジェクト概要
【目的】
県内中小企業のデジタル技術の活用を促進するため、高度なデジタル技術を活用した革新的な製品、サービスを開発・実証するプロジェクトを助成する


2.プロジェクトの背景
〇検体や試料となる液体を一定容量で正確にプレートなどの容器に注入する分注(ピペッティング)という行程は、医療検査、 薬学、化学、食品、環境分析など様々な分野で、頻繁に行われる実験工程の一つであるが、非常に繊細で均一な繰り返し作業を求められるため、業務の従事者にとって大きな負担となっている。
〇 自動分注装置は既に数多く存在しているが、自動化工程が限定されていたり完全自動なシステムを導入するには大きな負担があるのが現状である。
〇 そこで本プロジェクトでは、オープンソース技術を活用した比較的安価な制御システムを構築し、分注作業の前後工程を担うアームロボットとの協調 制御システムを開発、分注作業に関連する工程の生産性向上をプロジェクトのゴールとした。
3.プロジェクトのスコープ
〇高精度分注工程は、オープンソースをベースにした分注ロボット(OT-2)を採用し、分注の前後工程には汎用性の高い6軸のロボットアーム(xArm Lite6)を採用する。コントローラはLinux上にPythonというプログラミング環境を実装し、OT-2、Lite6を統合制御する。
〇 将来的に制御対象が変化しても、制御プログラム自体は汎用性を維持できる仕組みとしてROS2というオープンソースのミドルウェアをLinux上に実装する。これにより、将来的にハードウェアにとらわれない制御ソフトウェア構築環境の有効性を確認する。
〇 構築するシステムはブラックボックスにならない構成とし、ユーザが独自にシステム更新を行うことを許容する環境を構築する。
〇システムの要素技術は比較的安価に調達でき、システム構築後でも組み合わせを変更できる汎用性をもつものとする。
4.システム構成とインテグレーション
オープンソースによる統合制御とIoT機器とのゲートウェイを実装する
5.実証実験結果
〇分注ロボット(OT-2)とロボットアーム(xArm Lite6)の統合制御に成功。 コントローラは1つの産業PCに集約ができた。
〇 制御プログラムの実装環境は当初の予定通りLinux上に実装したROS2をベースとすることに成功した。
〇本プロジェクトではJupyter notebookでの実行を検証できた。アジャイル的にユーザプログラムを構築することが可能となった。
〇付随的な検証として、将来のデジタルツイン用途の可能性についても検討した。限られた設置面積、干渉物の多い場所での事前検証を仮想空間で検討できる有用性を確認できた。